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医療機関の倒産が過去最多!閉院した病院の医療機器はどこへ行く?

2026/10/19のTOP画像

2026年、医療機関の倒産が止まらない

私たちの生活に欠かせない病院やクリニック。その経営が、いま大きな転換期を迎えています。

2026年10月18日、東京商工リサーチが発表した調査によると、2026年1月から9月までの医療機関の倒産は59件。前年同期比28.2%増となり、同期間として過去最多を更新しました。

内訳は、病院8件、クリニック29件、歯科医院22件。特に地域医療を支える小規模なクリニックの経営悪化が目立ちます。

さらに、帝国データバンクの調査では、2025年の医療機関の倒産は66件、休廃業・解散は823件に達しています。

つまり、経営破綻だけでなく、後継者不足や院長の高齢化などによって、医療機関が静かに姿を消しているのです。

では、ここで一つ疑問が生まれます。

病院が閉院した後、そこに残された数百万円、数千万円もする医療機器は、一体どうなるのでしょうか?


なぜ病院は経営が苦しくなっているのか?

医療機関の経営が難しくなっている背景には、一般企業とは異なる事情があります。

通常の企業であれば、仕入価格や人件費が上がった場合、商品やサービスの販売価格を引き上げることで対応できます。

しかし、日本の保険診療では、医療サービスの価格にあたる「診療報酬」が国によって定められています。

電気代、医療材料費、人件費が上昇しても、病院が自由に診療価格を引き上げることはできません。

2026年度には診療報酬の引き上げが行われましたが、これまでのコスト上昇をどこまで補えるかは、医療機関によって異なります。

さらに、院長の高齢化や後継者不足も深刻です。

地域で長年親しまれてきたクリニックであっても、後継者が見つからなければ閉院せざるを得ないケースがあります。


閉院した病院に残る医療機器の行方

病院やクリニックが閉院すると、診察室や検査室には多くの医療機器が残されます。

レントゲン装置、超音波診断装置、内視鏡、心電計、診察台など、その種類はさまざまです。

これらの機器は、大きく分けて3つの道をたどります。


① 国内の医療機関で再利用される

比較的新しく、メーカーによる保守や点検が可能な機器は、国内の医療機関に中古品として販売されることがあります。

新品より導入費用を抑えられるため、開業時の設備投資などで選択肢になります。

② 海外の医療機関へ輸出される

日本国内では需要が少なくなった機器でも、海外では必要とされる場合があります。

特に日本製医療機器は海外にも流通しており、中古市場が成立している国や地域があります。

ただし、輸出先の規制や機器の状態、保守体制などによって販売できるかどうかは異なります。

③ リサイクル・廃棄される

古い医療機器や故障した機器は、中古品として販売できないこともあります。

その場合は、適切な処理を経て金属などの資源としてリサイクルされたり、廃棄されたりします。


1000万円の医療機器が、なぜ売れない?

中古医療機器の世界で興味深いのは、新品価格と中古価値が必ずしも比例しないということです。

例えば、新品で1000万円した医療機器でも、製造から長い年月が経過し、メーカーの保守対応が終了していれば、買い手が見つからないことがあります。

逆に、新品価格が比較的安い機器でも、海外で需要が高ければ中古品として価値が残る場合があります。

医療機器は、単に動けば販売できるという商品ではありません。

安全性の確認、必要な点検整備、部品の供給、メーカーの保守対応など、さまざまな条件が関係します。

さらに、大型医療機器の場合は、解体・搬出・輸送にも費用がかかります。

そのため、機器自体に価値があっても、撤去費用などを差し引くと買取価格がつかないケースもあるのです。


医療機関の閉院増加は、中古市場の拡大につながるのか?

ここで、中古医療機器業界にとって重要な問題があります。

医療機関の閉院が増えれば、市場に出てくる中古医療機器も増えるのでしょうか。

一般的には、その可能性があります。

しかし、中古機器の供給が増えることと、中古市場が成長することは別問題です。

閉院する医療機関には、長年使用してきた古い機器が残されていることも少なくありません。

また、国内の医療機関自体が経営難に直面している場合、中古機器の購入需要が十分に増えるとは限りません。

中古医療機器の価値は、国内だけでなく海外の需要にも左右されます。

閉院件数が増えたからといって、買取業者の売上や利益が比例して増えるわけではないのです。

むしろ、売却できない機器の撤去や廃棄にかかる費用が増える可能性もあります。


病院がなくなっても、医療機器の役割は終わらない

医療機関の倒産や閉院は、地域の患者にとって深刻な問題です。

通い慣れた病院がなくなれば、別の医療機関を探さなければなりません。医療従事者の雇用にも影響します。

一方で、そこで使われていた医療機器には、まだ役割が残されているかもしれません。

国内で再利用される機器、海外で新たな患者の診療に役立つ機器、資源として生まれ変わる機器。

その行き先はさまざまです。

医療機関の閉院が増える時代だからこそ、残された設備を安全かつ適切に次へつなぐ仕組みが重要になります。

病院の歴史には終わりがあっても、医療機器の価値まで終わるとは限らない。

中古医療機器市場には、医療資源を無駄にせず、次の医療現場へ橋渡しする役割があるのです。


参考資料

※倒産件数は各調査機関の集計基準に基づきます。倒産と休廃業・解散は異なる区分です。また、中古医療機器の流通に関する記述は業界の一般的な仕組みを解説したもので、閉院施設の全機器が再流通することを意味するものではありません。


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