
大掃除や遺品整理、引っ越しのタイミングで、使わなくなった健康器具や医療機器が自宅から出てくることはありませんか?
「数回しか使っていないし、高かったから売れるのでは?」
「まだ普通に動くから、捨てるのはもったいない」
「買取店がダメなら、フリマアプリに出品すればいいのでは?」
そう考える方は多いと思います。
実際、最近は中古医療機器を扱う私たちのところにも、一般の個人のお客様から家庭用医療機器の査定依頼をいただく機会が増えています。
特に多いのが、血圧計、吸引器、家庭用マッサージ器などです。
しかし結論から言うと、こうした一般家庭向けの比較的安価な医療機器は、専門業者であっても中古品としての買取が難しいケースが非常に多いのです。
「まだキレイなのに、なぜ?」
今回は医療業界を知らない方にもわかるように、その理由を解説します。
理由① 医療機器は「動けば売れる」商品ではない
テレビや冷蔵庫などの一般的な中古家電なら、買取業者が動作を確認し、清掃して問題がなければ中古品として販売できます。
ところが医療機器は、人の健康や身体に関わる製品です。
そのため「薬機法(医薬品医療機器等法)」などによって、販売や流通にさまざまなルールが設けられています。
医療機器はリスクに応じて分類されており、家庭で使われる製品にも「医療機器」に該当するものがあります。
そして中古医療機器を販売する場合、販売業者はその医療機器の製造販売業者、つまりメーカー側に事前に通知する必要があります。
メーカーから、
「この部分を点検してください」
「この部品を交換してください」
「この整備を行ってから販売してください」
など、品質・安全性を確保するための指示があれば、それに従わなければなりません。
つまり中古医療機器は、
「電源が入るから大丈夫」
「ほとんど使っていないから大丈夫」
という判断だけで簡単に再販売できる商品ではないのです。
理由② 一番大きな問題は「再販売するまでのコスト」
ここが、家庭用医療機器の買取が難しい最大のポイントです。
たとえば、新品で10万円程度の医療機器を考えてみましょう。
中古業者が買い取ったあとには、メーカーへの確認や通知、必要に応じた点検・整備、部品交換、清掃、動作確認などが必要になります。
そして、その費用は基本的に中古販売を行う業者側が負担します。
仮に、
新品価格10万円
↓
中古販売価格5万円
↓
点検・整備・物流などに数万円
となれば、そこからさらにお客様への買取代金を支払って利益を出すことは非常に難しくなります。
これが家庭用医療機器の買取が成立しにくい最大の理由です。
決して、
「その医療機器に価値がないから買い取らない」
ということではありません。
「安全な中古医療機器として再販売するためのコストと、中古市場で販売できる価格が見合わない」のです。
数百万円、数千万円する医療機器であれば、点検・整備に費用をかけても中古品として再販売できる可能性があります。
しかし、新品価格が数万円~10万円程度の家庭用機器では、同じ仕組みで中古流通させようとすると採算が合わなくなってしまいます。
理由③ 衛生面・安全面にも中古品特有のリスクがある
もうひとつ重要なのが、安全性です。
たとえば吸引器のように使用方法によっては体液などに接する可能性がある機器や、身体に直接触れて使用する機器では、衛生管理も重要になります。
見た目がきれいだからといって、内部まで安全とは限りません。
また、医療機器にはセンサーや電子部品などが使われています。
血圧計なども、単に「電源が入るか」だけではなく、測定値が適切であることが重要です。
仮に正常に動いているように見えても、内部の部品やセンサーが劣化していれば、本来期待される性能を発揮できない可能性があります。
だからこそ、中古医療機器では一般家電以上に点検や品質確認が重要なのです。
「買取店がダメならメルカリやヤフオクで」は要注意
ここで注意したいのが、フリマアプリやネットオークションです。
「専門業者が買ってくれないなら、自分で売ってしまおう」
と思う方もいるでしょう。
しかし、医療機器はその分類によって、販売に許可や届出が必要になる場合があります。
そのため、
「自分がお金を出して買った商品だから、自由に転売できる」
とは限りません。
実際にフリマサイトでも、許可・届出が必要な医療機器などについて出品を禁止・制限しています。
ただし、ここは誤解されやすいポイントです。
「医療機器なら何でも個人が売ったら違法」というわけではありません。
医療機器には複数の分類があり、必要となる許可・届出も異なります。そのため、製品ごとに確認する必要があります。
「他の人も出品しているから大丈夫だろう」
という判断は避けたほうがよいでしょう。
医療機器かどうかは、どこを見ればいい?
自宅にある製品が医療機器なのか、単なる健康家電なのかわからないこともあると思います。
そんなときは、本体のラベル、外箱、取扱説明書などを確認してみてください。
「医療機器」という表示に加えて、
医療機器承認番号 医療機器認証番号 医療機器届出番号
などが記載されていれば、医療機器に該当する可能性があります。
一方、見た目が似ているマッサージ機器やEMS機器などでも、医療機器ではなく「健康家電」「美容機器」として販売されている製品もあります。
見た目だけでは判断できないため、わからなければメーカーや専門業者に確認するのが確実です。
では、不要になった家庭用医療機器はどうすればいい?
まずは購入した販売店やメーカーに、回収・処分方法について相談してみましょう。
自治体のルールに従って処分できる製品もあります。
そして、購入価格が高額な機器や比較的新しい機器であれば、医療機器を取り扱える専門の中古業者に相談する方法もあります。
ただし、専門業者だからといって、すべての医療機器を買い取れるわけではありません。
特に、
血圧計・吸引器・家庭用マッサージ器など、一般家庭向けで新品価格が比較的安い医療機器は、買取価格よりも点検・整備などの再販売コストのほうが高くなりやすいため、買取が難しい
というのが実情です。
「まだ使える」と「中古品として売れる」は別の話
最近、一般の個人のお客様から医療機器の査定依頼をいただくことが増えています。
「ほとんど使っていない」 「購入したときは高かった」
「今でも正常に動いている」「捨てるのはもったいない」
そう感じるのは当然だと思います。
しかし、中古医療機器の世界では、
「まだ使える」=「中古品として販売できる」
ではありません。
メーカーによる中古流通への対応、使用期間、点検・整備の可否、その費用、衛生面、そして中古市場でいくらで販売できるのか。
こうした条件を総合的に判断して、初めて「買取できるか」が決まります。
医療機器に少し厳しいルールが設けられているのは、最終的には次にその機器を使用する人の安全を守るためです。
家庭に眠っている医療機器を売ろうと思ったときには、
「まだ動くから売れるはず」ではなく、「安全な中古医療機器として再販売できるか」
という視点があることを、ぜひ知っておいていただければと思います。
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