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医療機器メーカーは新品が売れなくても儲かる? 知られざる「保守サービス」の収益構造

2026/10/12のTOP画像

医療機器メーカーの収益源は「新品販売」だけではない

先日、キヤノンメディカルの医療機器納期遅延について紹介したところ、大きな反響をいただきました。

▶ 前回の記事「キヤノンメディカルの納期遅延が病院に与える影響」

https://note.com/arrows_column/n/nc266340c0609?utm_source=chatgpt.com


医療機器が予定どおり納品されないことで、病院の設備更新やメーカーの業績に影響する可能性があるという内容でした。

では、医療機器メーカーは新品が売れなくなると、必ず経営が苦しくなるのでしょうか?

実は、医療機器メーカーには新品販売以外にも重要な収益源があります。

それが**「保守・点検サービス」**です。


数千万円の医療機器は、購入後もお金がかかる

CTやMRI、超音波診断装置などの医療機器は、購入すれば終わりではありません。

安全に使用するためには、定期点検、部品交換、故障時の修理などが必要です。

そのため、メーカーや販売会社は医療機関と保守契約を結び、継続的にサービスを提供しています。

例えば、年間100万円の保守契約を10年間継続すれば、契約金額は累計1,000万円になります。

これはあくまで計算例ですが、メーカーにとって保守サービスが継続的な売上につながることが分かります。

新品販売が単発の売上であるのに対し、保守契約は複数年にわたる収益を見込める点が特徴です。


新品が売れないなら、保守期間を延ばす?

ここで注目したいのが、メーカーの保守対応期間です。

例えば、ミナト医科学は、2026年1月から部品交換を伴う保守・修理サービスの提供期間を、製品納入後「最長15年」とする方針を公表しています。

ただし、15年間の修理を保証するものではなく、部品の調達状況などによって対応できない場合もあります。

一般的に、医療機器の使用期間が長くなれば、メーカーが保守サービスを提供する機会も長くなる可能性があります。

病院の設備投資が伸び悩む局面では、既存機器の保守契約を維持・拡大することが、メーカーの収益安定化につながると考えられます。

もっとも、保守期間の設定には安全性や部品供給の事情もあり、保守期間の長期化が新品販売の不振を補う目的だと断定することはできません。


病院にとって保守契約は負担? それとも安心?

病院側にとっては、保守契約も経営上のコストです。

しかし、故障による診療停止や高額な修理費用を考えると、保守契約には大きな意味があります。

一方で、経営が厳しい医療機関では、新品への買い替えを先送りし、既存機器を長く使用するという判断も考えられます。

つまり、メーカーは保守サービスによる収益を確保でき、病院は設備投資を抑えられるという、双方にメリットのある関係が成立する場合もあるのです。

ただし、老朽化による故障リスクや保守費用の増加には注意が必要です。


中古医療機器市場への影響は?

では、保守期間が長くなると中古医療機器の価値も上がるのでしょうか?

答えは、それほど単純ではありません。

日本国内では、メーカーの保守対応が継続していることが、中古医療機器の再販売を後押しする場合があります。

一方、中古医療機器は海外向けに販売されるケースも多く、輸出先では現地の需要や修理体制、部品調達、輸入規制などが価格を左右します。

アローズヘルスケアの取引実務でも、海外向け販売が大きな割合を占めています。

そのため、国内メーカーの保守期間が長くなったからといって、中古医療機器全体の価値が一律に上昇するわけではありません。

国内市場と海外市場では、医療機器の価値を決める条件が異なるのです。


医療機器メーカーのビジネスモデルは変わるのか?

医療機器メーカーの収益を考えるうえで、これから重要になるのは、新品販売台数だけではありません。

保守契約、部品供給、ソフトウェア更新など、機器を販売した後のサービスにも注目する必要があります。

特に株式投資の観点では、各メーカーの決算資料にあるサービス事業の売上高や利益率、継続収益の比率などが重要な判断材料になります。

「医療機器を何台売ったか」だけでなく、「販売した医療機器から、その後どれだけ収益を生み出せるか」。

医療機器メーカーの本当の競争力は、こうした視点からも見えてくるのではないでしょうか。


参考資料

ミナト医科学「保守・修理サービス提供期間について」


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