9月13日から開催されている東京2025世界陸上はみなさんご覧になっていますか?昨夜は男女100mの決勝が行われ多いに盛り上がりました。このような大きな国際大会の医療体制がどうなっているのかが気になったので調べてみました。
大会公式サイト
https://www.jaaf.or.jp/wch/tokyo2025/
医療スポンサー企業は⁇
医療サービスのサポーター企業として株式会社メディカル・コンシェルジュがスポンサー契約をしている。
https://www.concier.com/
ポカリスエットで有名な大塚製薬株式会社も「暑熱対策と水分・栄養補給に関する共同研究」をワールドアスレティックス(世界陸連)および早稲田大学と実施すると発表されています。
https://www.otsuka.co.jp/company/newsreleases/2025/20250910_1.html
気になる医療体制は⁉
東京2025世界陸上の医療体制については、具体的な公式情報が出ていませんが、過去の大会と同様に、国際陸上競技連盟が定める厳しい基準に準拠し、アスリートの安全を最優先にした高度な医療・ドーピング検査体制が敷かれています。
国立競技場を中心に、ドクターカー、救護所、救急指定病院との連携、そしてドーピング検査室が設けられています。
2020年に開催された東京オリンピックでの医療体制については多くの記事を見つけることが出来ましたので紹介します。
公益財団法人日本陸上競技連盟 陸上競技研究紀要 第17巻 240‐244 2021 より引用
https://www.jaaf.or.jp/pdf/about/publish/2021/6-1.pdf
医療提供の目的
医療提供の目的は、障害、体調不良を起こし競技続行が困難と思われるアスリートもしくは審判役員の救護活動であり、いち早く傷病者をFOPより退避、離脱させ、傷病者の健康および安全を確保することである。また、円滑な競技会の運営・進行に寄与することである。
医療サービス提供期間と人員配置
医療サービスは2021年7月25日から8月7日までの14日間提供された。最初の5日間(7月25日から29日)は競技会開始前で3つの練習会場を対象とし、7月30日から8月7日の9日間は、練習会場とともにオリンピックスタジアム、ウォームアップ場において実施した。オリンピックスタジアムの全体の医療はVenue Medical Officerの統括のもと、観客(実際は無観客)や報道・スタッフなどの医療を担当する観客用医療サービスと、選手および審判に対する医療サービスを担当する選手用医療サービスに分かれて運営を行った(図1)。選手用医療サービスを日本陸上競技連盟医事委員会が担当し、Athlete Medical Supervisor(AMSV)を山澤医事委員長、副AMSVを金子委員が務めた。医療サービススタッフは医師27名、看護師14名、理学療法士および日本陸上競技連盟に登録しているトレーナー(本大会ではAthlete Care Assistant: ACAという名称となる)75名で構成された。医師・看護師は午前または午後の2交代制で期間中1人5~7シフト、理学療法士およびACAは大会日程の前半および後半にわかれて2グループで活動したが、1/3のメンバーは大会期間を通して活動した。活動場所は、競技会場であるオリンピックスタジアムと練習会場であるオリンピックスタジアム・ウォームアップトラック、代々木公園陸上競技場(織田フィールド)、江戸川区陸上競技場であった。

オリンピックスタジアム内医療サービス体制
トラック&フィールドの競技の特徴は多種目であること、同時にさまざまな競技が行われているという点である。トラックで競技が行われている中で、フィールドでは投てき競技や跳躍競技が行われるため、さまざまな場所で傷病者が同時に出る可能性がある。そのため、オリンピックスタジアムにおいては、世界陸連が推奨する体制とした。すなわち、選手用医務室に加え、競技場内(FOP)に4箇所に医療班を置き、TVインタビューエリア、ポストイベントコントロール(PEC)に救護観察班を置き、選手が競技する場所、競技後メディアへ対応する場所を網羅できる医療救護体制とした(図2)。FOPは各コーナーに1グループずつ配置し、それぞれに医師1名、理学療法士1名とACA3名を1つのチームとして配置した。この体制は、複数人で複数箇所から競技者を見守ることが可能となり、FOP内に死角を減らして傷病者の救護をいち早く行うことができる。さらに死角を減らすために、FOPのスタジアム全体を俯瞰し、FOP活動の調整をするFOPの指令者をFOP Supervisorとして観客席上階に配置した。FOPの救護活動は先に述べた通り、競技者の健康を確保し、競技会が安全かつ円滑に実施されることを目的として行われ、その役割は①事故の予防、②観察、③タイムリーな搬送である。その場で完結するごく簡単な処置は例外として、原則は要救助競技者を発見し、すばやく選手用医務室に搬送することを実践した。選手用医務室では、診断、治療を行い、選手村ポリクリニックなどへの搬送が必要な場合その手配をした。オリンピックスタジアムの選手用医務室はフィニッシュ地点から容易に入室できる場所に設置されており、救護を行う上で、最適な配置であった。選手用医務室にはベッドが5台設置され、外傷および疾病に対応可能な医薬品や資材が組織委員会より準備された(図3)。各種内服薬に加え、注射薬、蘇生のための用具や薬、外傷用の資材、感染防止のためのマスクやガウン、フェースシールド、アルコールゲルが用意された。オリンピックスタジアム・ウォームアップトラックの医務室も同様の設備であった。熱中症への対応としてCWIを行うアイスバスを設置したHeat deckやCOVID-19の濃厚接触者隔離のための部屋を医務室の隣に設置した。


Heat deck
IOCが推奨する労作性熱中病に対するプレホスピタルケアであるHeat deckを選手用医務室に隣接して配置した。Heat deckは冷水浸漬を実施するアイスバスと、アイスタオルやアイスバス後の選手の全身状態を観察する簡易ベッドからなる領域であり(図4)、直腸温計、大量の氷、タオル、簡易プール、搬送用担架、水温を測る温度計などの物品、血糖測定器、Na測定器を準備した。
深部体温(直腸温)が40.5℃以上であり、見当識障害、異常行動、卒倒など中枢神経系の機能不全が見られた場合、アイスバスの適応であるが、オリンピックスタジアム内ではアイスバス治療の適応となる選手はいなかった。直腸温にて評価し、アイスタオル法を施行した選手を経験し、選手の全身状態の評価とHeat deck活用について実践することができた。
外傷および疾病発生状況
トラック&フィールド種目への出場選手は約1800人。そのうち、オリンピックスタジアムもしくはウォームアップトラックの医務室を受診し、対応を要したものは59件で、外傷が38件(64%)、内科疾患が21件(36%)であった(図6)。外傷の受診の内訳としては、肉離れ/筋断裂/筋損傷が13件(34%)、裂創/擦過傷/皮膚損傷が14件(37%)、足・足関節の筋・腱・靭帯損傷8件(21%)であった(図7)。内科疾患は、熱中症が19件(90%)を占め、そのすべてをアイスタオル法で処置した。図8肉ばなれ/筋断裂/筋損傷34%ポストイベントコントロール18%取材エリア(MIX)17%ゴール後22%競技中29%途中棄権14%2007年の大阪世界世界選手権の競技会場とウオームアップトラックの対応件数253件(他のトレーニング会場を含めると305件/*2)と比べ、東京2020陸上競技での医務室対応件数が59件と少なかったことは、COVID-19の影響で、選手用医務室での他の選手との接触を避けるため、軽症であれば、チームドクターの対応を希望し、選手用医務室へ来室しなかったことなどが考えられる。 一方、FOPでの選手の観察・声掛けなどの対応・搬送の総件数は192件[競技中55件(29%)、途中棄権26件(14%)、ゴール後41件(21%)、メディアエリア(MIX)32件(17%)、ポストイベントコントロール(PEC)35件(18%)]であり、同時刻に複数個所で観察を必要とした(図8)。競技中や競技中の途中棄権が合計43%ともっとも多いが、競技後のメディア対応(MIXやPEC)での観察件数は合わせて全体の35%と次に多かった。これは、オリンピックではメディア対応が長時間となり、その場所が屋外であったことも原因と考えられる。

https://www.jaaf.or.jp/pdf/tokyo-report/058.pdf
まとめ
今回は世界陸上の医療体制をしらべてみました。東京2025世界陸上の医療体制の詳細は調べられませんでしたが2020年の東京オリンピックでの医療体制を見つけることができました。当時はコロナ真っ只中で現在よりも難しい状況の中で万全な体制を整備していました。
今大会は2020年の経験を活かしより良い体制を敷いていることでしょう。
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