2月14日はバレンタインデーですね。今回のコラムはバレンタインデーが間近に迫ってきたので、バレンタインにちなんだ医療の話を調べてみました。
そもそもバレンタインとは??
バレンタイン とは、3世紀のローマ帝国に実在した聖職者ヴァレンティヌスの名前が由来になっています。
時の皇帝クラウディウス2世は、兵士たちの士気が下がるという理由で、兵士の恋愛や結婚を禁止していました。そんな中、キリスト教の司祭バレンティヌスは皇帝の政策に反対して、キリストの愛を説き、秘密裏に多くの兵士たちの結婚式を執り行っていました。
怒った皇帝は、ヴァレンティヌスをミトラ教※に改宗させようとしましたが、ヴァレンティヌスはその命令に従わず、西暦270年2月14日に処刑されてしまいます。
※当時のローマ帝国はミトラ教が大きな勢力をもっていた時代で、キリスト教の信仰の自由は公には認められていませんでした。
ローマ帝国がキリスト教を国教にした後、人々はヴァレンティヌスの勇気ある行動を守護聖人「聖ヴァレンティヌス」として讃え、処刑された2月14日を「Saint Valentine’s Day(聖バレンタインの日)」としました。
日本独自の文化: 1950年代後半にチョコレート会社や百貨店の広告から始まり、女性から男性へチョコレートで愛を伝える日として定着した。
バレンタインとてんかんの意外な関係
バレンタインデーの由来となった聖バレンタインは、てんかんのある人々を庇護した聖人としてたたえられている。それ故、「世界てんかんの日」はバレンタインデー直前の月曜日、2月の第2月曜日と定められている。また、毎年3月26日をパープルデーと定めるなど、てんかんは世界的な社会啓発が進められている。
チョコレートは薬だった
チョコレートは薬として200年以上の歴史があります。 今から300年ほど前、マリーアントワネットよりも少し前の時代には、 「チョコレートは薬である」というイメージが一般的だったのです。 さらに昔、現在のメキシコにアステカ王国が栄えていたころには、 滋養のある飲み物として王族が好んで飲んでいました。
チョコレートの薬はどのように使われていたの?
チョコレートが薬として活発に使われていた時代は、1500年ごろから1700年ごろのことです。 カカオの生産地を植民地にしていたスペイン・ポルトガルを中心に、 フランス、イタリアなどのヨーロッパの国々で薬として扱われていました。 チョコレートには『体を冷ます』という特性があると考えられていて、 発熱が見られた時に処方されていたようです。 (ただし、このころの医学は、現在とまったく違う『体液病理説』という理論に基づいていて、 現在ではデタラメであると考えられています。) 病気の時にたびたび処方されていたチョコレートは、 『なんとなく体にいいっぽい!』『しかも美味しい!』 というイメージが、王族・貴族の間で持たれるようになり、 チョコレートが一般の人に広まるまでは、『薬』として愛されるようになりました。 ちなみに、このころのチョコレートは固形ではなく液体でした。 当時は固形のチョコレートを作る技術がなく、カカオ豆をすりつぶしたものを、水・砂糖と混ぜて飲んでいました。
チョコレート薬は映えが大事
チョコレートは大変高価な薬だったため、貴族や王族しか飲めない、『特別なもの』でした。 そのため、飲むときには『気持ちを盛り上げて飲もう!』という意識があったようです。 チョコレートを飲むための食器には最高級の物が使われ、 テーブルには砂糖菓子などが盛られてデコレーションがされていました。 (バースデーケーキを華やかにデコレーションしたり、いいお皿を使ったりするのと同じ感覚ですね。) 1650年以降にはチョコレートの映えスタイルがますます流行し、 チョコレート専用の食器『ショコラティエール』や『マンセリーナ』も登場しました。 『薬』として飲むだけでなく、『嗜む』という文化が、この時定着し、 体を治療するためだけではなく、客人をもてなすためにも使われるようになりました。
チョコレート専門の薬剤師がいた
ポルトガルの宮廷には『チョコラテイロ』という役職がありました。 『チョコラテイロ』の仕事は、いわばチョコレート専門の薬剤師で、
貴族や王族にチョコレートを処方する仕事
ポルトガル軍のためにカカオを備蓄する仕事
を担当していました。 じつは、チョコレートをどうやって映えさせるか考えるのもチョコラテイロの仕事。 食器のチョイスやテーブルセット、並べるお菓子の種類などをどうするかを、 宮廷で働く役人が、真剣に考えていたのです。
なぜチョコレートが薬だと思われていたの?
ヨーロッパでチョコレートは薬として処方されていましたが、 その期待されている薬効は、『熱さまし』などのデタラメだったと考えられています。 では、なぜそのような薬効があると考えられたのでしょうか? それは、チョコレートがヨーロッパに持ち込まれたときに、薬効を勘違いしたからです。 1500年代、スペイン人がアステカ王国(現在のメキシコ周辺にあった王国)を訪れた際、こんな記録を残しています。
アステカ王国の王、モンテスーマはカカオの実から作られた飲み物を指して、『これは女と交わるために飲むのだ』と言った。
つまり、1500年ごろ、アステカ王国ではカカオが『精力剤』として扱われていたのです。 これを見たスペイン人は、『現地の王族が飲んでいる、体にいいらしい飲み物』として チョコレートをスペインに持ち帰りました。 この時、ヨーロッパ各国の医師たちが、 「これは体にいいらしいけど、薬としてはどんな分類になるんだろう?」 という議論を重ねました。 当時、ヨーロッパでは主流だった医学の『体液病理説』に基づいて、 薬は『体を温めるもの』『体を冷やすもの』などに分類していました。 このとき、チョコレートは『体を冷やすもの』に分類されてしまったため、 熱さまし効果があると勘違いされてしまったのです。
チョコレートはいつから体にいいと思われていたの?
ヨーロッパで信じられていた薬効が勘違いだったと聞くと、 『チョコレートが体にいいって本当は嘘なんじゃない?』と思ってしまいますよね。 しかし、チョコレートの発信地、アステカ王国では、スペイン人が来訪するよりもはるか昔から、 チョコレートが飲まれていたことがわかっています。 詳細な文献が残っていないため、いつから『精力剤』として扱われるようになったのかはわかりません。 しかし、少なくとも1000年以上前から、ひょっとすると2000年以上も前から、 『高貴な身分の人が飲むもの』として扱われていたことがわかっています。 そして、当時のアステカの薬学は、ヨーロッパよりも進んでいたと考えられています。 というのも、アステカでは数千種類もの植物を薬として使いこなしており、 その薬効は、長い歴史の中で確かめられてきたものでした。 中国の長い歴史の中で使われてきた、漢方のようなイメージですね。 アステカの多くの人がチョコレートの効果を体験していたため、 チョコレートは高い効果がある飲み物として大切に扱われてきました。 時には、チョコレートの原材料、カカオ豆が 神様へのお供えものにされたり、お金の代わりに使われていたこともあるようです。
チョコレートにはどんな効果があるの?
さて、実際のところチョコレートにはどんな効果があるのでしょうか? 一言でいうと、『頭を覚醒させ、活力を生み出す効果』があると考えられます。 チョコレートに含まれている成分のうち、体によさそうな成分として、以下が挙げられます
カフェイン
テオブロミン
ココアバター
カカオポリフェノール
このうち、最初の3つ、『カフェイン』『テオブロミン』『ココアバター』は、 3つ合わせることで『頭を覚醒させ、活力を生み出す効果』をもたらします。 カフェインには、摂取することで頭をすっきりと覚醒させる効果があります。 「コーヒーを飲むと頭がすっきりする」という話は有名ですが、これはコーヒーにカフェインが多く含まれているからです。
余談ですが、カフェインを多く含む、コーヒー・コーラ・チョコレートは、 いずれも最初は薬として開発され、徐々に嗜好品として扱われるようになった歴史があります。 世界中で愛される食べ物・飲み物には、何かしらの薬効が必要なのかもしれませんね。
テオブロミンは、カフェインとよく似た物質で、脳の血流をよくする働きがあると言われています。 このことから、頭の働きを活発にしてくれるのでは?という期待が持たれています。 ココアバターは、カカオ豆に含まれる脂肪分で、体を動かすためのエネルギーとして働きます。 現在の社会では『脂肪』は悪者扱いされていますが、 食べ物が豊富にとれないアステカの王国では、少し食べるだけでエネルギーを効率よく摂取できる『脂肪』は、 それだけで『薬』と言ってもいいほど価値のあるものでした。 『カフェイン』と『テオブロミン』による脳への働きと、『ココアバター』の質の高い栄養分が、 仕事に疲れた頭を覚醒させ、次の活動に向かうエネルギーをくれるのです。 もちろん、アステカ王国の人々は、「チョコレートにはカフェインが入っていて体にいい」と意識していたわけではありません。 しかし、アステカの人々はチョコレートを飲むことで、 『頭がすっきりする』『活力が湧いてくる』という効果を実感していたため、 チョコレートを大切に扱っていたのだと考えられます。 現在、私たちは仕事や家事の合間にチョコレートをつまむことが多くあります。 疲れた体を癒して、次の仕事に取り掛かるために、次の遊びをめいっぱい楽しむために、チョコレートを食べます。 それは、数百年もの間アステカ王国の人々が行っていたのとよく似た行動といえます。 私たちは『チョコレートで覚醒する!』という意識は持っていませんが、 アステカ王国の人々は長い歴史の中でチョコレートの効果を悟った上で、生活に取り入れていたのですね。 さて、チョコレートに含まれる最後の成分『カカオポリフェノール』は、 近年、最新の研究結果のもとでその効果が立証されてきた成分です。
参考記事
チョコレートナビコラム https://suit-chocolate.com/
まとめ
今回はチョコにまつわる話をまとめてみました。今年は筆者はチョコはもらえるのでしょうか・・・
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