日本の多くの民間病院や救急病院が物価や人件費の高騰で赤字経営に苦しむ中、徳洲会グループは強固な黒字経営を維持しています。医療界全体の6割が営業赤字と言われる厳しい状況下で、徳洲会グループが黒字を達成している業績数字や、その強さの理由について解説します。
参考資料
m3.com 医療維新 レポート 2026年5月12日 (火)グループ収益は6000億円超、M&Aで急拡大遂げる - 徳洲会グループ強さの秘訣◆Vol.1
https://www.m3.com/news/open/iryoishin/1334324
徳洲会病院グループとは⁉
医療法人徳洲会を中心とし、全国に80以上の病院や診療所、介護施設など総数400以上の施設を展開する日本最大級の民間医療グループです。
1973年に医師の徳田虎雄氏によって設立され、大阪府松原市に誕生した「徳田病院(現・松原徳洲会病院)」がその原点となっています。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%BE%B3%E6%B4%B2%E4%BC%9A
1. 基本理念と活動方針
徳洲会グループは、創立以来一貫して「生命だけは平等だ」という哲学を掲げています。この理念のもと、以下の3つを柱とした医療を提供しています。
年中無休・24時間オープン:救急患者を「断らない医療」を実践しています。
離島・へき地医療の重視:医療過疎地にも積極的に病院や診療所を開設しています。
患者中心の医療:患者からの「贈り物(心付け)」を一切受け取らない方針を徹底しています。
2. 主な医療の特徴高度救急医療
高度救急医療:高度な救命救急センターや先進医療機器を揃え、地域の救急医療の要となっています。
がん治療と臨床研究:最新鋭の医療機器を導入し、未来医療研究センターなどを通じて新薬の治験や国の臨床研究プロジェクトにも多数参画しています。
医療の国際化:発展途上国への医療技術支援や、災害発生時の国際医療支援チーム(TMAT)の派遣なども積極的に行っています。
https://www.tokushukai.or.jp/
徳洲会グループの経営実績
徳洲会グループは、日本の民間医療グループとして最大規模の売上(医業収益)を誇っています。2024年度の財務実績は以下の通りです。医業収益:初めて6,000億円を突破(約6,069億円)経常利益:約264億円当期利益:約145億円黒字割合:全国92病院のうち、赤字は最近M&Aで傘下に入った病院や大規模な設備投資を行った19病院のみ。中核を担う湘南鎌倉総合病院などは、一般的に赤字になりやすいとされる急性期・救急部門を抱えながらも、8%を超える高い医業利益率で黒字化を達成。
黒字経営を支える4つの強み
「断らない医療」による高稼働率
「年中無休・24時間オープン」の理念を徹底し、病床稼働率は90%を超えています。患者を断らない姿勢がそのまま高い収益力に直結しています。
「日報」による徹底した可視化とスピード
経営全92病院の前日の稼働実績(外来・入院数、救急搬送、検査・手術件数など)が翌朝には自動集計され、全職員が閲覧可能です。他院と実績を比較させることで組織内に緊張感を生み、課題があれば即座に対策を講じています。
スケールメリットを活かした共同購入
医薬品、医療機器、消耗品をグループ全体で一括共同購入することで、仕入れコストを大幅に引き下げています。
赤字病院のM&Aと再生
経営難に陥った地域の公的・民間病院を積極的に買収(M&A)し、徳洲会の経営ノウハウを注入することで、短期間での黒字化(例:鹿児島徳洲会病院など)を次々と成功させています。
黒字化がもたらす、本当の価値
徳洲会の黒字化の意義は、「利益が出た」ことそのものではない。
老朽化設備の更新、人材育成への投資、働きやすい職場環境の整備など、医療の質をさらに高める再投資が可能になった点にこそ、本質がある。
持続可能な経営は、地域にとって「なくてはならない病院」であり続けるための条件でもある。
これからの医療経営への示唆
少子高齢化が進み、医療需要の質も量も変化していくこれからの時代。従来の延長線上にある経営では、立ち行かなくなる病院も増えていくだろう。
徳洲会の取り組みは、「理念か経営か」という二者択一ではなく、「理念を守るために経営を変える」という発想の重要性を示している。
地域医療を守るためには、構造改革と意識改革の両輪が必要だ。その実例として、徳洲会病院グループの黒字化は、多くの医療機関にとって大きなヒントになるはずである。
医療の未来は、情熱だけでも、数字だけでも守れない。その両方を真剣に見つめ直すことが、今、求められている。
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